けがの不安を解消する完全ガイド
転んだり、どこかに強くぶつけたりしたとき、「これってただの打撲?もしかして骨が折れているかも…」と、急な出来事に不安でいっぱいになりますよね。
痛みや腫れがあると、どう対処すれば良いのか、病院に行くべきなのか、判断に迷ってしまうのは当然のことです。
そんなときでも、あわてずに行動できるように、けがをした直後の正しい応急処置から、症状の見分け方、病院での診察の流れ、そして回復までの道のりまでを、一つひとつ丁寧に解説します。
この記事を読めば、あなたの今の不安が軽くなり、次に何をすべきかが明確になるはずです。安心して、読み進めてくださいね。
けがをした直後の応急処置「RICE」とは
けがをした直後は、まず「RICE(ライス)処置」と呼ばれる応急手当を行うことが、回復を早めるための基本です。
これは、安静(Rest)・冷却(Icing)・圧迫(Compression)・挙上(Elevation)の4つの処置の頭文字をとったもので、内出血や腫れ、痛みを最小限に抑える目的があるためです。
足首をひねった場合、まずは無理に動かさず楽な姿勢で休み、次に氷のうなどをタオルで包んで15分から20分ほど冷やします。腫れを防ぐために弾性包帯で軽く圧迫し、最後にクッションなどを使って患部を心臓より高い位置に保つと、内出血や痛みが軽くなるでしょう。
この初期対応が後の治癒経過に大きく影響するため、あわてずに一つずつ丁寧に行うことが大切です。
応急処置でやってはいけない注意点
RICE処置を行う際には、良かれと思ってしたことがかえって症状を悪化させないよう、いくつかの注意点を守る必要があります。
誤った処置は、凍傷や血行障害、神経の圧迫といった二次的な問題を引き起こす可能性があるためです。早く冷やしたいからといって氷を直接肌に当てると凍傷になる恐れがあるため、必ずタオルなどで包んでください。
また、腫れを抑えようと包帯をきつく巻きすぎると、指先が青白くなったり、しびれを感じたりすることがあります。そのようなサインは血行が悪くなっている証拠なので、すぐに圧迫を緩めることが求められます。
正しい知識をもって対処することで、安全に応急処置の効果を高めることができます。
これって骨折?打撲や捻挫との見分け方
けがをした部位の症状を注意深く観察することで、骨折の可能性が高いかどうかをある程度判断できます。骨折には、単なる打撲や捻挫とは異なる特有のサインが現れることが多いためです。
ぶつけた部分を押したときだけ痛むのが打撲であるのに対し、骨折の場合は何もしなくてもズキズキと痛んだり、動かそうとすると激痛が走ったりします。
また、見た目に関節ではない場所が不自然に曲がっている、けがの瞬間に「ポキッ」という音や折れた感触があった、というケースも骨折を強く疑うサインといえるでしょう。
腫れや内出血も、骨折の場合はより広範囲に、そして急速に広がることが多いです。これらのサインが複数当てはまる場合は自己判断せず、専門医の診察を受けることが重要になります。
| 症状 | 打撲(うちみ) | 骨折の疑い |
|---|---|---|
| 痛みの種類 | 押すと痛い、動かせる範囲の痛み | 何もしていなくても痛い、動かすと激痛が走る |
| 腫れ・内出血 | 比較的限定的で、時間をかけて広がる | 広範囲に及び、急速に腫れてくることが多い |
| 見た目の変化 | 大きな変形は少ない | 関節以外の場所が曲がるなど、明らかな変形がある |
| 動かせるか | 痛みを伴うが、動かせる場合が多い | 痛くて動かせない、体重をかけられない |
| けがの瞬間の感覚 | 「ゴンッ」という鈍い衝撃 | 「ポキッ」「ゴリッ」という音や折れた感触がある |
【部位別】骨折が疑われる症状のチェックリスト
けがをした部位によって、骨折を疑うべき特徴的な症状は異なります。体の各部位は構造や機能が違うため、損傷したときに現れるサインにも違いが見られます。
手や指の場合、普段曲がらない方向に曲がっていたり、曲げ伸ばしが全くできなかったりするのであれば骨折の可能性があります。足や指では、痛みが強く体重をかけることができない状態が続くときに注意が必要でしょう。
腕や脚に明らかな変形がある、または少し動かすだけで激しい痛みが走る場合は骨折が疑われます。深呼吸や咳をしたときに胸に鋭い痛みが響くときは、肋骨骨折を考えるのが望ましいです。
特定の動きで強い痛みが出るなど、部位特有のサインを見逃さないようにすることが、適切な対処につながるといえるでしょう。
特に注意したい頭部のけが
頭をぶつけた場合は、他の部位のけがとは異なり、特に慎重な観察が必要です。脳への影響はすぐには現れず、数時間から数日経って症状が出てくることもあるためです。
打った直後は元気そうに見えても、頭痛がだんだんひどくなる、吐き気を繰り返す、意識がもうろうとしてくる、といった症状が見られたら危険なサインかもしれません。
また、手足のしびれやけいれん、会話がかみ合わない、鼻や耳から透明な液体や血液が出てくるなどの症状も、すぐに医療機関を受診すべき状態と考えられます。
頭部のけがは、症状がないからと安心せず、少なくとも24時間はいつもと違う様子がないか、注意深く見守ることが何よりも大切です。
病院に行くべき?救急車を呼ぶ?判断の目安
けがをした後、すぐに病院へ行くべきか、それとも救急車を呼ぶべきか、冷静な判断が難しいこともありますよね。
症状の緊急度を見極めるためのポイントを知っておくことで、いざというときにあわてずに行動できます。骨が明らかに飛び出しているような大きなけがや、意識がおかしいといった場合は、ためらわずに救急車を呼ぶことが必要です。
一方で、痛みはあっても歩ける、見た目に大きな変化はないといった場合は、診療時間内に整形外科を受診するという判断もできるでしょう。
これからお伝えする具体的な目安を参考に、ご自身の状況に合った適切な行動を選択してください。
迷わず救急車を呼ぶべき症状
以下の症状が一つでも見られる場合は、ご自身の安全を最優先し、ためらわずに救急車を呼んでください。命に関わる状態や、後遺症を防ぐために一刻も早い処置が必要なサインであるためです。
- 骨が皮膚を突き破って外に出ている
- 手足が明らかに普段とは違う方向に曲がっている
- 出血がひどく、圧迫しても10分以上止まらない
- 頭を強く打ち、意識がない、または朦朧としている
- けいれんを起こしている
- 強い胸の痛みや背中の痛み、息苦しさがある
これらの症状は、単なる骨折だけでなく、血管や神経、内臓の損傷を伴っている可能性も考えられます。救急隊が到着するまでは、可能な範囲で応急処置を続けながら、安全な場所で待つようにしましょう。
診療時間内に病院を受診する目安
救急車を呼ぶほどではないものの、できるだけ早く専門医に診てもらった方が良い症状もあります。放置することで悪化したり、治りが遅くなったりするのを防ぐため、以下のサインがあれば診療時間内に病院を受診しましょう。
- 強い痛みが続き、だんだんひどくなっている
- 腫れや内出血が広範囲に広がってきた
- 体重をかけると痛くて歩けない、または手を使えない
- けがをした部分が熱を持っている
- 数日経っても痛みや腫れがまったく引かない
これらの症状は、骨折や靭帯の損傷など、適切な治療が必要な状態を示唆している可能性があります。不安なまま過ごすよりも、一度専門医に診てもらうことで、安心して治療に専念できるはずです。
けがの専門家「整形外科」を受診しよう
打撲や骨折の疑いがある場合、どの診療科に行けばよいか迷うかもしれませんが、まずは「整形外科」を受診するのが最も適切です。
整形外科は、骨、関節、筋肉、神経といった、体を動かすための器官(運動器)の病気やけがを専門に扱う診療科であるためです。
レントゲンなどの精密な検査を通じて、骨の状態を正確に診断し、ギプス固定や手術といった専門的な治療を受けることができます。
また、治療後のリハビリテーションまで一貫してサポートしてくれるため、機能回復まで安心して任せられるでしょう。けがの正しい診断と適切な治療を受けるために、運動器の専門家である整形外科を選ぶことが大切です。
整形外科と整骨院・接骨院との違い
整形外科と名前が似ている整骨院や接骨院は、役割が全く異なるため注意が必要です。
最も大きな違いは、整形外科には医師が在籍し、医療行為を行えるのに対し、整骨院や接骨院で施術を行うのは柔道整復師であり、医師ではない点です。
そのため、整骨院や接骨院では、レントゲン撮影による診断や、薬の処方、手術といった医療行為は一切できません。できるのは、あくまで応急処置としての固定や、痛みを和らげるための施術に限られます。
骨折の可能性があるけがの正確な診断と治療のためには、必ず医師のいる整形外科を受診することが重要です。
病院での診察の流れ
初めて整形外科を受診するときは、どのような流れで診察が進むのか、少し緊張するかもしれませんね。事前に診察の流れを知っておくことで、心の準備ができ、落ち着いて受診できます。
まず受付で問診票を記入し、その後、医師による診察でけがの状況について詳しく聞かれます。必要に応じてレントゲンなどの画像検査を行い、その結果をもとに医師が診断を確定し、今後の治療方針について説明してくれるでしょう。
全体の流れを把握しておけば、次に何をするのかが分かり、安心して医師の話を聞くことができます。
診察で伝えるべきこと
医師に正確な診断をしてもらうためには、けがをしたときの状況をできるだけ詳しく伝えることが大切です。あなたの話す情報が、医師にとって診断の重要な手がかりとなるためです。診察の際には、「いつ、どこで、どのようにしてけがをしたのか」を具体的に説明しましょう。
「階段を踏み外して足首をひねった」「ドアに指を強く挟んだ」というように、状況を伝えることで、どのような力が加わったのかを医師がイメージしやすくなります。
けがをした瞬間の状況やその後の症状の変化を整理して伝えることが、迅速で的確な診断につながります。

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